MushiMushi Tachikawa
教育支援協会東京西
2019-03-31

ムシムシ探検隊3月 講演会と観察会の模様

年度末押し詰まりで日曜日の3月31日、今年度締めくくりのムシムシ探検隊でした。
今回は「テントウムシハンドブック」をご執筆された阪本優介先生と日本蛾類学会の飯森政宏先生のお二方をお迎えし、豪華ダブルキャストの講師陣にお話を伺いました。

講義前半は、坂本先生によるテントウムシのおはなし。

阪本先生の講義

そもそも日本にテントウムシは何種類くらいいるのでしょうか…??
180種もいるのだそうです。その大部分がゴマつぶ級のミニサイズ、というのも合わせて二重の驚きですね。ナナホシテントウのサイズが標準ではなかったんですね。
さらにテントウムシの見分けを難しくしているのが、そっくりな種類、同じ種類の中での変化、それからテントウムシのようでテントウムシではないムシたちの存在です。
ナミテントウの模様にいろいろあるのは図鑑の説明でもおなじみですが、斑紋がどれも同じと思われがちなナナホシテントウでも、斑紋が小さいものや大きくて繋がっている個体など、かなり変化に富むということ。
これまでなんとなく抱いていたテントウムシのイメージが覆されたレクチャーでした。

飯森先生の講義

続いて、飯森先生による、(蛾)についてのおはなし。
チョウとガ。身近な昆虫の代表的なものですが、そういえば、どこがどう違うのでしょうか。
翔んでいるのが、ガ? …ペッタンコに止まるのが、ガ? …それとも触角の形で区別??
じつは、それらはみな例外があり、見分けの決定打にはなりません。
つまるところ、チョウとガは分類学的には一体のもので、いわゆるチョウというのは、日本に6,000種以上いるガの仲間(鱗翅目)のうち、これとこれだけチョウチョね!…と、200種類くらいを選んだものだそうです。人為的・恣意的な分類の産物なのですね。
そういえばフランス語やドイツ語ではチョウとガを区別しないで、同じ単語で表しますよね。
色のきれいなガや姿のカッコいいガなど、豊富な写真も見せて頂き、ガに対するイメージもだいぶ変わったことと思います。

先生方もご友人同士ということで、講義中も絶妙なツッコミを互いに入れていらっしゃったりして…楽しい講演会を演出していただきました。

後半は、諏訪ノ森公園へ出かけて昆虫観察です。
予報に反し、まだ薄ら寒い曇り空が続いていました…
晴れていればモンシロチョウなどの飛翔もみられると思いますが、ぱっと見それらしいムシは翔んでいません。
そこで冬場の探検隊と同じスタイルで、ケヤキなどの樹皮をチェックしてみます。

まだ寒さも残っているからか、ゾウムシやテントウムシの仲間がかなりの確率で樹皮の裏側にじっとしていました。

ちっちゃいテントウムシたち!

定番ともいえる小型のウスキホシテントウを多数発見。
そういえば、ウスキホシテントウは冬から春の観察会でしか見たことがありません。
夏、彼らがどこへ行ってしまうのか、テントウムシの不思議のひとつだと思います。
木の幹には、菌食性(うどんこ病菌をたべる)のキイロテントウも現れました。

もう一種、冬のムシムシ探検隊でウスキホシテントウと一緒によく見つかっていた、もっと小さい謎の甲虫。
これの正体を、先生に明らかにしていただきました。
ムツボシテントウです。体長2mm程度のかなり小型なテントウムシです。
これで、今後は同定に迷わずにすみます!
11時過ぎから急速に天気回復。明るく暖かくなってきた公園内にはホソヒラタアブカゲロウの仲間などが飛び始めました。

おなじみのテントウムシたち

終盤、陽のあたる草地には普通種ナナホシテントウナミテントウも出てきて、春らしい色を添えてくれました。
小さいテントウムシをいっぱい観察したあとだったので、その大きさを実感します。

昆虫の分野でご活躍の先生お二方からお話を伺えるとあって今回は参加を希望される方も多く、1週間前に満員御礼となりました。
今回ご参加いただけなかった方、申し訳ありませんでした。今後のムシムシ探検隊にどうぞご期待ください。

興味しんしんなお話に続いて、参加者からの様々な質問に丁寧にお答えいただいた阪本先生、飯森先生、ありがとうございました。
そして来年度、平成の次の時代もムシの探検は続きます。
これからのムシムシ探検隊もよろしくお願いします!

▲このページの最上部へ