MushiMushi Tachikawa
教育支援協会東京西
2016-11-13

講演会「ムシ目のススメ~やっかいものが宝になった」と昆虫観察会の模様

11月13日は、フォトエッセイストの鈴木海花先生を講師にお迎えしまして、午前中は講演会、午後は野外で探検隊を開催。昆虫たちとめいっぱい触れ合える1日となりました。
立川市環境対策課と、ムシムシ探検隊・立川の協働によるものとして、8月に開催した昆虫写真の撮り方講座に続く企画です。

講演会は「たましんRISURUホール」会議室を会場に、「ムシ目のススメ~やっかいものが宝になった」と題して、海花先生よりふたつのトピックをお話ししていただきました。

ひとつめは、ガ(蛾)と「ナショナル・モス・ウィーク」にまつわるお話です。

講演会の模様

チョウはきれいで、ガはきたない?本当にそうでしょうか?
日本国内でみられるチョウは250種類ほど。ガは遥かに多く、何千種類もいるんです。色も大きさもかたちもさまざまですし、いわゆるガのイメージを打ち破るような綺麗な種やカッコイイやつもいっぱいいますよ!
そんなガを学術的に、市民参加形で楽しむプロジェクトが「ナショナル・モス・ウィーク」。原型は2005年にアメリカで始まり、日本は2014年から参加している国際プロジェクトです。
次回のナショナル・モス・ウィークは来年2017年の7月下旬に開催される見込みです。期間中設置されるモス・ウィークのサイトに、みつけたガの写真をアップすると専門家の先生方が同定(種類を確定すること)してくださり、ワールドワイドに情報公開されるとのことです。
来年の夏には、立川のガたちが世界へ羽ばたくように、ぜひ市民参加で盛り上げたいと思う次第です。今から楽しみですね。

ガがきらい、虫が怖い…おとなたちが虫を忌避すべき存在だと思えば、こどもたちも、そういうものだと思い、虫を避けるようになってしまいます。昨今の「虫離れ」の理由かもしれませんね。
しかし、視点次第で、虫の世界も魅力にあふれているということへの気付き。自然と向き合うまなざしを持てば、世界はもっと色彩豊かです。
「虫目のススメ」です!

車座になってフリートーク


2つめは、「やっかいものが宝になった」というお話。
「やっかいもの」って、何でしょう?先に答えを書いてしまうと、カメムシのことなんですね。
カメムシ…ときいて、皆さんどうお感じですか?先程のガと同じく、やっぱりあんまり印象の良い虫じゃないのではないか、と思います。
農作物をダメにしたり、洗濯物にニオイがついたり、家の中に入ってきたりして、たしかにカメムシ、いろいろ困ったことをしてくれます。
でも、色かたちがさまざまな種類がみられ、よく見てみれば好奇心をかきたてる虫でもあります。

岩手県葛巻町(くずまきまち)の小学校を舞台に、学校内に入りこんできたいろんな種類のカメムシを、児童たちがみんなで調べて、じぶんたちオリジナルの図鑑を作り上げ、カメムシはかせになった…という楽しいお話を紹介していただきました。
このお話は、海花先生が本文を執筆され、この秋、一冊の絵本になりました。
絵本が形になるまでの、2年以上にわたる取材の模様もスライドでご紹介くださり、見る側もその過程を追体験できました。

2題のおはなしに続いて、こんどは参加者もしゃべる時間を設けました。
みんなで丸くなって、自己紹介とフリートーク。各自、好きな昆虫を語ってもらいました。
それぞれ虫との思い出や、虫とのふれあいで思うこと、午後の観察会で見てみたい虫など、ざっくばらんに語りながら、参加者同士の理解と親睦を深めました。

探検隊は楽しい!

午後は実際の生きてる虫を題材に、RISURUホールから歩いて15分ほどの矢川緑地で昆虫観察会をいたしました。
9月に講師をお願いしたバッタ博士こと林先生も、きょうは参加者として出席してくださいました。

午前中に話題になったカメムシでは、アカスジキンカメムシの5齢幼虫や、ツヤアオカメムシ、またオオホシカメムシなど、色彩豊かでデザインセンスの秀でたカメムシ数種を観察できましたし、林先生によるオオカマキリとチョウセンカマキリの違いのミニスタディも学べたりして、予定した1時間半は、あっという間に過ぎました。
いわゆるカメムシではないけれどもカメムシ目のムシたちでは、ミミズク(という昆虫がいるのです!)や、おなじみのツマグロオオヨコバイ(通称:バナナ虫)なども観察できました。

ウリ科の葉をたべるトホシテントウのイガイガの幼虫、コバネイナゴ、オンブバッタ、ツユムシ(ナミツユムシ)、セスジツユムシなどバッタのなかま、ツマグロヒョウモンやヤマトシジミなどもみられました。

アカスジキンカメムシ5齢幼虫(左)と、オオホシカメムシ成虫(右)

矢川緑地は、コンパクトな面積に湿地と雑木林があって、昆虫も植物も豊富、いつの季節でもみどころがあり、立川市の宝だと思います。
観察会当日は天気も良好で暖かく、ムシたちもいっぱい登場してくれました。
1日のうちに、お話と観察会と、虫の魅力を濃厚に体験できたイベントとなりました。

一般に人気があるムシたちといえば、カブトムシ、クワガタなどではないかと思います。今回は、あえてそこではなく、ガとカメムシをテーマに皆を惹きつけるお話をしてくださって、参加者のみなさんも、さらに虫好きの扉がひらかれる気分になったと思います。
鈴木海花先生、ほんとうにありがとうございます!

関連情報 わたしたちのカメムシずかん(たくさんのふしぎ 2016年11月号 福音館書店刊)

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