MushiMushi Tachikawa
教育支援協会東京西
2016-12-18

越冬前のムシに会いに行こう!!ムシムシ探検隊12月の模様

2016年をしめくくるムシムシ探検隊は、玉川上水沿いを探検しました。

12月としては暖かくて太陽も降りそそいでおり、期待が高まります。
総勢10名あまりが「虫目」となって、2時間あまりの探検の間にもさまざまな発見がありました。

ムラサキシジミ 翅のオモテとウラ

鮮やかな青みの紫色を見せるきれいなチョウは、ムラサキシジミ。ヤマトシジミよりも二回りほど大きなシジミチョウです。成虫越冬します。
まだ朝のうちで体温が上がっていないのでしょうか、翅を半開きにして日光浴しています。メタリックに輝く翅表面の鱗粉が目に眩しいです。
ところが翅をとじると、翅の裏側は積もった落ち葉と同じ茶色系の地味な色調で、メタリックな光沢もありません。すっかり周囲にとけこんでしまいます。保護色なんですね。
シジミチョウの仲間はオモテとウラで色や模様の異なる種が多いですが、本種もオモテ側の青紫色がみえないと「ムラサキシジミ」だと判りにくいですね…

今年はクヌギカメムシも多数観察できました。

クヌギカメムシ 成虫と卵

クヌギやコナラの幹のくぼみに産み付けられている、クヌギカメムシの。なぜか幹の南側に産み付けられているのを何箇所も発見。
教科書的には、温度変化の少ない北側に産卵されることが多いのですけどね~

卵を覆っている、緑色っぽい透明感のある卵塊ゼリーは、卵を冬の寒気や乾燥から保護するとともに、うまれた幼虫の初期のエサでもあるのだそうです。
まだ冬のうち(2月ころ)に孵化したクヌギカメムシの幼虫は、3齢幼虫になるまで、このゼリーをたべて成長することがわかっています。
3齢幼虫になる頃には春となり、木の芽が吹いて、以後は植物の汁を吸うようになります。他のムシたちは春に孵化するものが多いですから、早く孵ったクヌギカメムシは既に大きくなっていて、エサの取り合いなどでは有利なのかもしれませんね。

これだけ人数が揃っていると、いろいろな虫や卵などを見つけられるので、予定よりもスローペース…少し急がないと!(笑)

フユシャクの♀

スタートから1時間あまり経ったところで、今日の目標のひとつであったフユシャクの♀に出会うことができました。
詳細な種については、しっかり同定する必要がありそうです。
これ、なんですよ。翅は小さく退化して飛べません。近づいてもほとんど動きません。しかも木肌とおなじような色模様…これは、かなりの「虫目」でないと、見つけられませんね!
気温が上がってきたせいか、フユシャクの♂がヒラヒラと飛び始めました。
飛べない♀は、人には感じないフェロモンを出して、飛翔する♂を呼び寄せるのだそうです。
天敵の少ない冬に活動する道を選んだので、このような無防備な姿でも子孫を残せるのでしょうか。進化の妙だと思います。

このほか、マユミの枝先にはミノウスバの卵が、エノキの大木の下に散り敷いた落ち葉にはゴマダラチョウの越冬幼虫が、朽ち木の中にはクワガタムシのなかまの幼虫がひっそりとたたずんでいました。

ゴマダラチョウの越冬幼虫

また暖かさに誘われてか、ナミテントウも各所でヒョコっと出てきていました。

昨年の12月も、玉川上水の同じ場所で観察会をしています。今年は、昨年見つからなかった、フユシャク♂の飛翔や、クヌギカメムシの成虫の姿をとらえることができました。
同じ場所・同じ頃の観察会でも、年によって状況が違っているものですね。

今回は冬の観察会としては、かなり多種類のムシたちに出会うことができました。いよいよやって来る真冬を前に、越冬の準備最中の虫たちの姿を観察した探検隊となりました。

さて、2016年のムシムシ探検隊の活動は、今回までとなります。
来たる2017年も、未知なるムシたちとの出会いを願って、これからも楽しく探検しましょう!

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