MushiMushi Tachikawa
教育支援協会東京西
2017-12-10

川上洋一先生と一緒に!ムシムシ探検隊12月 矢川緑地の模様

12月のムシムシ探検隊は、今夏8月に続き、ザ!鉄腕!DASH!!に出演されている、生物と生態の専門家川上洋一先生を講師にお迎えして、矢川緑地でのフィールド観察会を開催しました。

晴天の矢川緑地で

2017年秋は雨の多い秋でしたね、2回連続で雨天中止となり、久しぶりの開催となりました。お待たせいたしました。
やはり、青空の下での観察会は気持ちが良いものです。太陽の光が当たれば地温も上昇し、虫たちの活動も期待できます。
フィールドは8月と同じ矢川緑地。あれから3か月半が過ぎ、湿地のガマの穂は風に舞い、樹々は黄葉から落葉の季節へ、景色はすっかり様変わりしています。

草地のフィールドでは、12月に入っても多数のコバネイナゴがピョンピョンと跳躍していました。
真夏の明るい黄緑色(ときにはピンクの個体も)と比べると、いくぶん色がくすんだようです。枯れ草が増えるにつれて、それに合わせて保護色も変化するのでしょうか?
ジュズダマの葉にはコバネイナゴと思われる食痕も確認できました。同じイネ科の葉に刻まれる食痕であっても、それがジャノメチョウ類の幼虫によるものか、あるいはバッタ類によるものかで違いがあるとのことで、そういった微かな痕跡から判る生物相についても川上先生は丁寧に説明してくださり、興味を持って観察できました。

コバネイナゴとオオカマキリ

流れ沿いの草地では、陽がさしたばかりでまだ温度が上がっていないせいでしょうか、オオカマキリ♀が下を向いてじっとしているのを観察できました。
大きな腹部を抱えています。オオカマキリは複数回の産卵をするといいますから、この♀も何度目かの産卵前かもしれません。

林のほうへ行ってみます。矢川緑地の林は、クヌギ・コナラ主体の落葉広葉樹林(いわゆる雑木林)から、シラカシ・アラカシ主体の常緑広葉樹林への遷移の途上にあり、現在両方のタイプの林が混在しています。
クヌギ・コナラ林の林下には、これまた腹部がはちきれそうなクヌギカメムシの♀を発見しました。もうすぐ産卵するのでしょう。
また何箇所かのコナラの幹には、クヌギカメムシの卵も確認できました。昨年多数の卵があったくぼみには今年はなく、少し離れた場所に産卵されていました。
背中の黄色いハート模様がかわいい、エサキモンキツノカメムシも観察できました。このカメムシは早春から秋遅くまで、かなり長期間、見られるようです。

カメムシ目としてはこのほかクサギカメムシヨコヅナサシガメツマグロオオヨコバイ(通称バナナ虫)、クロスジホソサジヨコバイも観察できました。
クロスジホソサジヨコバイはキヅタの葉にいました。よく、冬場のヤツデの葉裏で見られる昆虫ですが、キヅタも同じウコギ科ですから、液汁のは似ているかもしれません。

カメムシ類2種

この矢川緑地には何本ものエノキがありますが、このエノキの樹下の落葉には、ゴマダラチョウなどの幼虫が越冬しているはずです。去年12月には玉川上水沿いで観察しています。
どちらかというと、温度変化の少ない北側(日陰側)の方が越冬昆虫にとって過ごしやすいこと、また表層よりも、湿りのある若干内部の層を探ると見つけやすいなど、川上先生のアドバイスを受けて、みんなでゴソゴソとエノキの株元の落葉をめくってみます。
エノキの幹直下であれば、必ずしもエノキの葉っぱでなくとも、ゴマダラチョウの幼虫は着いていると、さらなるアドバイスをいただき、探すのがはかどりました。
食草はエノキですが、越冬のため地表へ降りてきたときは、手近な葉っぱにくっつくのでしょうね。写真のゴマダラチョウ幼虫も、ケヤキの落葉に着いています。

緑地をひととおり観察し、一周して戻ってきて、締めの記念写真を…というところで、すぐ背後のコナラの幹にキボシカミキリを発見!
こういうサプライズも、ムシムシ探検隊の醍醐味です。

ゴマダラチョウ幼虫、キボシカミキリ

ムシムシ探検隊が活動を始めてから、今年で4回めの冬となります。これまでの観察会を通じ、冬でもさまざまな虫たちが観察できることが分かっています。
さらに、これまでの継続により、同じ場所・同じ日付であっても、年によって多い昆虫、少ない昆虫があったり、産卵場所も少し違ったり…と、変動があることも分かってきました。
また図鑑では秋までと書かれている種類の昆虫でも、実際フィールドに出てみると思いがけず出会えることも、しばしば経験しています。
これらは、フィールドワークを重ねて、はじめて分かってくることですね。

今回は写真でご紹介したほかにも、朽木の中のカミキリムシ幼虫、チビタマムシ類やゴミムシダマシ類などの小型甲虫、ワカバグモやジョロウグモなどのクモ類も観察できました。
すぐには同定できなかった昆虫も何種類かみつかりました。
種類の分からない昆虫でも投稿できるのが、立川いきものデータベースの強みです。
今後の機能拡充に向けて、ただいま新機能もテストしています。ますます楽しいいきものデータベースとなるよう、皆様も立川市内で撮影した昆虫の写真、ぜひご投稿ください。

12月24日(日)には川上先生がご出演の番組がオンエアされるとのことで、楽しみですね。
川上先生、今回もご指導いただきまして、誠にありがとうございます。

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